研修講師として独立開業・年収アップ

研修講師ビジネス成功のための5つの打ち手

研修講師として独立開業を検討している方のなかには、うまくビジネスを軌道に乗せられるのか不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。

研修講師として独立開業するということは、たとえ一人起業・フリーランスであっても事業を経営をする立場になったということですね。事業経営は必要なファクターに対して万遍なく手を打っていくのが鉄則です。一人でビジネスをやっていても数千人の社員がいてもそれは変わりません。

でも、そのファクターがわからなければ手の打ちようがありませんね。

そこで今回は、研修講師として独立起業して、うまくビジネスを軌道に乗せるために重要な5つのファクターを解説します。

研修講師として既に活躍されている方も一読されてご自分のビジネスを見直されることをお勧めします。案外ベテランの講師の方でも、この話をすると「抜けていることがあった」とか「次にやらなきゃいけないことが見つかった」とか言われることが多いです。

研修講師ビジネスの5つのファクターとは

研修講師ビジネスの5つのファクターは上記の図の通りです。

どんなビジネスでも「業種×ビジネスの仕組み」で成り立っています。それが一番上から2段目にかけての「研修講師ビジネス」を分解した図です。左側の緑色の部分が「業種」です。右側の灰色の部分が「ビジネスの仕組み」を表しています。

まず、左側の「業種」から説明します。研修講師ビジネスは日本標準産業分類でいえば、学術研究、専門・技術サービス業の中の『専門サービス業』という業種にあたります。研修講師ビジネスは、研修講師という専門家によって提供されるサービス業ということになります。

この「研修講師サービス」をさらに分解すると、「WHAT」と「HOW」に分けられます。WHATは「何を教えるか」、HOWは「どう教えるか」です。この2つが、研修講師がクライアント企業へ提供している専門性です。この専門性によって価値が生み出され、その価値が価格を決める根本的なファクターになります。

次に、右側の「ビジネスの仕組み」をさらに分解すると、「マーケティング」と「マネジメント」に分けられます。どんな企業でも事業をする以上は、この2つのビジネスの仕組みが必要です。ただし、この記事の読者の方は1人で研修講師をしたい方/1人で研修講師をしている方を想定していますので、今回はマネジメントの説明は割愛します。

「マーケティング」とは顧客創造のための企業活動のことです。教科書的にいえばSTP(セグメント・ターゲット・ポジショニング)を決め、4P(Product、Price、Place、Promotion)の活動を一貫性をもって行うことですが、研修講師ビジネスを1人でやっていく場合、そこまで細かく分けて考えなくても大丈夫です。

教科書的に細かく考えすぎると現実世界で機能しなくなることが多いので、ざっくりと3つのファクター、「業界・市場・顧客の理解」「商品開発・価格」「チャネル・営業」に分けて考えればよいと思います。銀行融資等で詳細な事業計画が必要な場合は、この3つについて考えてから、それをもとに教科書的に表現してください。

研修講師ビジネスの価値の源泉ー専門性

先述したように「研修講師サービス」の「WHAT」と「HOW」、この2つは研修講師が提供している専門性を表しています。研修講師はこの2つの専門性をお金に換えているビジネスです。

研修講師である、あなたが持っている専門性を使って様々な研修という名前の「商品開発」が行われ、開発された商品の市場における需給関係や価値の評価によって「講師料という価格」が決まります。それを表しているのが赤い矢印です。

研修講師の専門性の「WHAT」とは、あなたが教える教育テーマのことです。例えば、マーケティングや組織マネジメント、コーチングやファシリテーション、人事評価やOJT、ビジネスマナーなどのことを言います。それぞれのテーマについて、研修参加者や利害関係者が「なるほど」と感じるレベルの専門性の高い情報を幅広く知っておく必要があります。

もう一つの研修講師の専門性の「HOW」とは、あなたの教え方のことです。

昔から「名選手必ずしも名コーチならず」と言われます。あなたがどんなに「WHAT」についての専門性が高く、ご自身がそれをどれだけうまく使いこなしていても、研修参加者に上手に教えられるどうかは別の問題です。例えば、営業成績が飛びぬけて高い営業パーソンでも、それを他人に教えるのが上手い人もいれば下手な人もいます。他人にうまく教える専門性の高さが講師には必要です。仕事のリピートがくる先生は間違いなく教え方が上手な講師です。

「何を教えるか」と「どう教えるか」の2つの側面で研修講師は専門性の高さが必要であり、その専門性に対して、クライアント企業からお金が支払われているということです。

研修講師ビジネスのマーケティング

研修講師ビジネスもビジネスですから顧客創造のための活動、つまり「マーケティング」をしなければなりません。

マーケティングの起点は「顧客の理解」です。

私の経験からいえば、研修講師ビジネスが成功するか失敗するかの根本的な分岐点はここにあると思います。企業研修の顧客はもちろん「企業」ですが、なぜ企業が研修をするのか?企業は研修に何を期待しているのか?企業は研修をどう捉えているのか?などをあまり知らないで、この業界へ参入されている方がいらっしゃいます。

特に同じ講師業であっても、「個人を対象としたセミナー講師」と「企業を対象とした研修講師」は顧客が違うのですから、異なるビジネスの考え方をしなければ成功しないことだけはぜひ覚えておいてください。

顧客を理解したら、あなたの専門性を活かして研修(商品)を開発します。研修という商品は、市場価値的に大きく2つに分類されます。パッケージ研修とカスタマイズ研修です。パッケージ研修は既製品です。カスタマイズ研修はセミオーダーです。当然、既製品よりセミオーダーの方が価格は高いです。

商品・価格の次は、受注数を左右する「チャネル・営業」を考えます。

この2つを考える際に知っておかなければいけないことがあります。それは、研修ビジネス業界のことです。研修ビジネス業界には、あなたである「研修講師」と、最終的に支払いを負担する「クライアント企業」のほかに、「研修会社」というビッグプレイヤーがいます。研修会社は付き合い方によっては、研修講師のパートナー(販売チャネル)にもなるし、ライバルにもなります。

研修会社は全国展開する大手と地場という区分のほかに、独立系とグループ会社系という会社の成り立ちの違いや得意分野や戦略の違いなどでいろんなパターンがあります。そのあたりを理解して、ご自分のビジネス圏内を調査してみると、チャネル施策と営業活動の方向性が見えてくると思います。

繰り返しますが、研修講師ビジネスの起点は「顧客の理解」です。研修会社のパートナー講師になろうが、クライアント企業と直接契約をしようが、それは変わりません。この理解が浅いために、せっかく研修講師になったのに壁にぶつかって転業・廃業されていく方がいます。

まとめ|事業経営とは5つのファクターに手を打ち続けること

あなたが研修講師ビジネスを事業経営していく際に、必ず手を打たなければいけない5つのファクターの概略と関係性を説明しました。

研修講師ビジネスをうまく軌道に乗せ、成功させるための基本中の基本ともいえる情報です。言われて見れば「その通り」な常識的な情報ですが、案外忘れられている情報でもあります。

研修ビジネスに限らずどんな事業でも経営する時に、「なにか1つだけをやっていれば成功する」、「これさえしとけば大丈夫」なんてことは絶対にありません。

常にこの5つの観点からご自分のビジネスを振り返り、少しずつ万遍なくバランスよく手を打ち続けていくことが事業経営のポイントです。そうすることで、コンスタントに稼ぎ続ける研修講師になれるのです。

あなたの研修講師としてのご活躍を心から応援しています。

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